割安株投資研究所

2004年に株式投資をはじめました。現在の投資スタイルは割安株投資がメインです。好きな格言は「人の行く裏に道あり花の山」。

コーナン商事(7516)の目標株価

本日はホームセンターのコーナン商事(7516)を取り上げてみたいと思います。

この業界は群雄割拠で熾烈な競争を繰り広げています。
市場規模は2011年は震災特需があったので3兆9048億円でしたが、それまでの年は3兆6000億円~3兆6500億円の間に収まっていることが多く、市場規模自体は頭打ち感が強くなっています。
そんな中で今回取り上げるコーナン商事は、売上高で業界第4位となっています。しかしながら、業界内での売上シェアは年々下がっており、その点で不安があります。
本社は大阪にあり関西圏を中心に店舗を拡大してきましたが、近年は首都圏への進出を強化しています。私の住む近くにも店舗が何店舗かあるのでたまに利用しています。
店舗を利用したことがある人はお分かりでしょうが、PBの「ライフレックス」を全面に押し出した売場を展開しています。この商品は海外直輸入商品のようなので、近年の円高の恩恵をかなり受けていたようで、売上はここ何年も大きな増減はないものの、営業利益に関しては素晴らしい伸びを見せています。
現在売上に対する海外直輸入商品の比率が32.8%ですが、会社側は早期に40%まで持っていき粗利益率の改善を図っていきたいようです。


(2012年2月期有価証券報告書より)

投資する際に気になる点としては、売上高が伸びていないことです。
近年はPB比率を上げて売上総利益率を改善することで、営業利益率の増加を達成してきましたが、その戦略もそろそろ頭打ち感が出てきそうなことと、国策として円安に誘導されそうな為替の問題が業績の足を引っ張りそうな可能性があります。
したがって、小売業の本来のあるべき姿である売上の増加をしていかないと、利益成長は期待できないでしょう。
目標株価を算出する際は、そのあたりの問題を考慮して保守的に業績を予想したいと思います。

その前に今期の業績を確認しておきましょう。
2013年2月期も第3四半期まで業績が発表になっています。
売上高は2067億円(-3.4%)、営業利益135億円(-11.2%)と苦しい決算となっています。
通期予想もすでに下方修正を発表しており、売上高2725億円(-3.3%)、営業利益165億円(-11.8%)の予想となっています。この2725億円という売上予想はかなり低い数字で、近年では最も悪く投資家としては不安です。

最後に目標株価を算出して投資判断を行いたいと思います。
まず3年後の業績を予想したいと思います。
売上高は微減が続くという判断で良いと思います。具体的には今期予想数字より約-5%の2300億円とします。
営業利益に関しては、今までのような伸びは期待できないものの、売上総利益率の改善はまだ可能なものの、売上の伸びがないため販管費の圧迫と相殺されて、売上と同じく微減が続くのではないかと予想します。具体的には今期予想数字より約-5%の155億円とします。
割引率に関しては、株式市場からまったく評価されていない現状も踏まえて12%とします。
以上の数字で事業価値を計算すると778億円となります。
次に財産価値と負債ですが、財産価値は現預金と投資有価証券で50億円、負債は1060億円です。
以上で株主価値を計算すると-232億円となります。キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
マイナスって何ですか?
一番大きな理由はやはり負債の多さですね。2008年に増資を行っている過去もあり、資金調達には苦労していることがうかがわれます。
しいて言えば、小売業特有の勘定科目ですが、差入保証金が460億円あるのでこれを財産価値に含めて考えても良いかもしれません。そうすると株主価値は228億円となります。

1/25の終値が1087円で、時価総額に直すと377億円になります。
どちらにせよ投資判断としては非常に悲観的と言わざるを得ないと思います。

ちなみに1/23に岩井コスモ証券が投資判断の引き下げを行いました。
その際に出した目標株価は1250円で、時価総額に直すと433億円です。
岩井コスモ証券と私の目標株価の違いは何でしょうか?
おそらく、事業価値の違いだと思います。仮に来期の営業利益が今期の予想営業利益より5%伸びるすれば、割引率12%で考えて事業価値が866億円、割引率10%で考えて事業価値が1040億円になるので、株主価値はそれぞれの場合、316億円と490億円になります。
そう考えると岩井コスモ証券の目標株価1250円も納得できます。

したがって、投資家がどのようなシナリオを考えるかによって、やはり目標株価は違ってきますし、私のようにかなり保守的に考える投資家には今回のケースでは投資判断は厳しいものになってしまいます。
今回のコーナン商事のケースでは、将来の業績の伸び率をどうみるかによって大きく株主価値が変化しそうです。今回出した自分のシナリオを確認する意味でも、しばらくコーナン商事の業績はウォッチしていきたいと思います。
しかしながら、コーナン商事に投資している皆さん、くれぐれも増資にはご注意くださいね(^▽^;)

そう言えば、我が家の奥様もコーナン商事を保有しているんだっけ(><;)



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