ヤオコー(8279)の業界特有のチェックポイント
さて本日は、この業界でチェックしておきたい自分なりのポイントを確認しておきたいと思います。
①価格競争に過度に巻き込まれていないかを原価率でチェック
この業界は売っているのはコモディティ商品なので、いくら価値を売ろうとしても価格競争は避けられません。よって、原価率が過度に上昇していないかチェックする必要があります。
②経費のコントロールができているか販管費率をチェック
今期は電気代が上がり普通にやっていては経費の上昇は避けられません。それだけではなくこの業界は人件費の占める割合が高いので、経費コントロールができているのかをチェックするのは重要です。
③固定資産、特に店舗や土地などの有形固定資産の回収はうまくいっているのか、有形固定資産回転率をチェック
小売業は出店場所がすべてといっても過言ではないほど重要です。良い物件は競争が激しいので新規出店が上手くいっているのか、その投資の回収率はどうなのかを固定資産回転率で判断しています。
④営業キャッシュフロー内で投資を行っているのかをチェック
これは以前は重視していたのですが、最近は考え方を多少柔軟にしています。というのもニトリホールディングス(9843)の影響が大きいです。ニトリは初期~5年くらい前まではフリーキャッシュフローがマイナスでした。ここ最近はフリーキャッシュフローがプラスになり資金の回収期に入っています。もし、フリーキャッシュフローがマイナスだからという理由だけを重視して投資していなかったら、この企業を価値を判断しきれなかったということになります。
したがって、小売業で店舗の拡大を図っている投資期においては、他のチェックポイントを併用しながら判断するようにしています。具体的には次の⑤です。
⑤既存店売上が好調かチェック
小売業は既存店が上手くいっているときは良い循環が生まれます。既存店の競争力があるということは、自らが行っている企業活動が消費者に受け入れられているということです。現在は上場している小売業の多くが月次の数値を公表しているのでこれは必ずチェックします。
以上の5点を重点的に確認したいと思います。
①②③ここ5年間の原価率と販管費率・第2四半期の販管費の内訳、有形固定資産回転率をチェックします。
まず原価率を確認するとここ5年間は一貫して76%台をキープしています。ということは価格競争には巻き込まれていないと判断して良いと思います。
次に販管費もここ5年間は一貫して24%台をキープしています。これもうまく経費をコントロールできていると思います。
(第56期第2四半期決算決算参考資料より)
売上が104.3%伸びていることを考えると、比率が大きく変化している項目は広告宣伝費(96.5%)で8600万円削減、水道光熱費(114.8%)で2億5200万円増加、減価償却費(89.9%)で1億6700万円削減しています。
やはり水道光熱費の上昇というのは企業努力だけでは吸収しきれないものがありますね。
次に有形固定資産回転率を確認すると年々低下傾向にあります。
まだそれほど危険水域というわけではないですが、このペースで年々下がっていくようだと新店があまり上手くいっていない可能性が高いので成長鈍化の懸念が出てきます。
④キャッシュフローの状況
(2012年2月期有価証券報告書より)
フリーキャッシュフローを計算するとマイナスの年が多いです。稼ぎの範囲内で出店しようとは考えていないみたいです。公募増資は20年くらい前に一度あったきりで、基本的には自己資金と借入で行っています。
⑤既存店売上高の確認
(ヤオコーホームページより)
震災の影響があった3月を除いては、ほぼ100%を超えており非常に好調な数字だと思います。この数字が続く限りは、販管費の落ち込みや有形固定資産回転率などはカバーできると思いますので、業績の先行指標という意味ではやはり重要なチェック項目だと思います。
さて明日は、ヤオコーの中期経営計画を確認したいと思います。
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